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メルマガ『皇位継承Q&A』 第27号 天皇の国事行為
平成19年1月24日 発行
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天皇の国事行為はまったく形式的なものだから無用ではないかという人々がいます。しかし、その形式の象徴的意味には絶大なものがあります。その点を理解せずに簡単に天皇の国事行為を切り捨ててしまうのは、まさしく伝統的な日本の“国のかたち”を根本から覆すものです。そこで今回は、日本国憲法第6条〔天皇の任命行為〕と第7条〔天皇の国事行為〕について論じてみたいと思います。
このメールマガジンは、天皇や皇位継承や日本の伝統について男系維持の立場からQ&A形式で解説します。そして、皇位継承に関するサイトや本の紹介などもしていきます。
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◆ 皇位継承Q&A ◆
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Q.天皇の国事行為にはどのような意味がありますか。
A.まず、日本国憲法の該当個所を見ておきましょう。
〔天皇の任命行為〕
第6条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
〔天皇の国事行為〕
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
「天皇は、国民の代表に治めさせることによって日本国を統(す)べる」という形式を一貫して守ってきた、と私は見なしています。例外的な一時期を除き、いずれの時代も天皇が自ら国を治めるのではなく、国民の代表に治めさせていました。古代・中世・近世においては藤原氏や源氏などに治めさせ、近代は薩長の藩閥に治めさせ、現代は一般国民に治めさせています。ただ、国民の代表といっても、近世までは特定氏族の世襲であったり、近代は特定出身地の代表であったりして、代表に大きな偏りがあったことも事実です。しかし、この委任形式はほぼ一貫して守られています。
天皇は、国民の代表者たる国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命します。それは、“正式の”内閣総理大臣が誕生することを意味します。さて、内閣総理大臣は国会の多数決で選出されるのであって全会一致で選出されるのではありませんから、発足当時からその総理大臣に不満な多くの国民が存在します。そこで、バカバカしい話しですが、少数意見を尊重するのが民主主義だといって延々とその指名に反対することも不可能ではないでしょう。しかし、有無を言わさずそれを“確定したもの”にするのが天皇による任命であるとも言えます。そこで決定のプロセスに区切りがつくわけです。また、天皇の歴史の重みによって、その内閣総理大臣を日本国統治の歴史に連なる“正式のもの”として権威づける役割もしています。天皇による任命によってその内閣総理大臣が日本の長い歴史の一コマとして確定するわけです。
・・・続きは《こちら》
以下は、メルマガに書くのはどうかと思ったので、ちょっとこっちでボソボソと。。。
日本共産党は、「帝国議会の儀式を引き継ぐもので、憲法の国事行為から逸脱するもの」であるとして現行開会式を批判し、「憲法と国民主権の原則を守る立場」から出席しない。しかし、「国会を召集する」天皇の国事行為を象徴するひとつのセレモニーとして、国会議員なら出席するのが当たり前のような気もするんだが。。。
まあ共産党は、天皇が国会を召集するという形式自体を“日本国憲法の精神に反する”と内心では考えているんだろうけどね。彼らは日本国憲法を(不完全な)革命憲法と“誤認”しているんじゃなかろうか。だが、日本国憲法は天皇すなわち君主の権力を最小限レベルに抑えた改訂版の明治憲法とも読めるし、そう読んだほうが憲法全体に一貫性がある。共産党のいう「国民主権の原則」で見れば、天皇条項は完全な矛盾だから。

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